声  明
2025年09月23日

韓鶴子総裁逮捕を受けて


 全国霊感商法対策弁護士連絡会 
代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
 代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
事務局長 弁護士 木村 壮(東京)  
  
1   本日、統一教会韓国本部の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻金建希(キム・ゴニ)氏に対し、2022年4月から7月にかけて、高級ネックレス等の金品を贈り、見返りにカンボジアでの統一教会関連事業の便宜を図るよう依頼した容疑及び尹錫悦前大統領の側近であった権性東(クォン・ソンドン)議員に対し統一教会への支援の要請のために1億ウォンを供与した容疑等で逮捕された。

2   今回、韓鶴子が逮捕された事実に関しては、すでに本年7月18日に韓国統一教会本部での家宅捜索が行われ、同月30日には統一教会の世界本部長であった尹永浩(ユン・ヨンホ)が、金建希氏に対し高級ネックレス等の金品を贈った容疑や権性東議員に1億ウォンを供与した容疑で逮捕された。そして、尹永浩は、本年9月17日に行われた初公判において、金建希氏に贈与しようとしたこと、権性東議員に現金を供与したことを認めている。また、報道によれば、尹永浩は、韓鶴子総裁の指示でこれを実行したと供述しているとされている。

 さらに、上記の利益供与を受けた金建希氏は本年8月12日に、また、権性東議員は本年9月17日にそれぞれ逮捕されている。

 そして、本日、遂に統一教会韓国本部の総裁である韓鶴子が逮捕される事態に至った。
当連絡会としては、このように上記の利益供与を実行した尹永浩やこれを受け取った金建希氏及び権性東議員が逮捕されただけではなく、統一教会韓国本部のトップである韓鶴子総裁まで逮捕されたことで、これから韓国における統一教会による組織的な政治工作の全容が解明されるだけでなく、日本の霊感商法や違法な献金勧誘等の被害者から得た資金が韓国本部において不当な利得や私欲のために支出されてきた実態までが解明されることになると期待し、今後の捜査、公判の推移を注視していきたい。


3   統一教会は、1960年代から韓国や日本の保守系の議員と関係を深め、教勢の拡大を目論んできた。このような統一教会の政治家との関係構築は、霊感商法や違法な献金勧誘等の統一教会の違法な活動の抑止を困難にさせてきただけでなく、これらの違法な活動にお墨付きを与え、これを助長する結果を招いてきた。その結果として、我が国では、統一教会による霊感商法や違法な献金勧誘等の違法な活動が40年以上に亘って温存され、経済的に破綻するなどして苦しむ多数の被害者が生み出されてきた。

 今回の韓国における捜査は、統一教会が日本における霊感商法や違法な献金勧誘等で築き上げた資金力等を背景に政治家に不当な手段で影響力を行使しようとしていた実態を解明しようとするものである。統一教会が霊感商法や違法な献金勧誘等で築き上げた資金力等を背景に政治家に影響力を行使しようとしていた構図は日本と共通するものである。それにもかかわらず、我が国では安倍元首相銃撃事件を契機に政治家と統一教会の関係が明るみに出ても、中立な第三者機関による統一教会と政治家の関係についての調査は行われておらず、徹底した実態解明は行われていない。

 確かに、2022年7月以降、各政党において統一教会との従前の関係性を問うアンケートが実施されるなど、統一教会との関係を調査する動きが見られたものの、自民党の調査は自己申告に基づくものにすぎず、その後も複数の議員の統一教会との関係が明らかになったり、組織的に選挙協力を受けていたとの疑惑が報道されたりするなど、徹底した実態解明がなされたとは到底言えない現状がある。

 そこで、当連絡会としては、この機会に、我が国でも、改めて国会等において中立な第三者機関を設け、統一教会と政党、政治家との関係について徹底した調査を行うよう求める。
 以上