統一教会　安倍晋三　元首相　銃撃事件　声明

全国霊感商法対策弁護士連絡会

弁護士　郷路征記（札幌）

　統一協会は７月１７日付け声明で「７月１２日に行われた連絡会主催の記者会見では、同会所属弁護士が『私たちは山上容疑者のお母さんが脱会してきた場合に、そのお母さんの依頼を受けて、お母さんを被害者として加害者である統一教会に対して損害賠償請求を提起し、献金として取られたお金を回収』（以下、「第１引用」という）する意図があることを宣言し、『統一教会は１００％の悪であり、山上容疑者のお母さんもそれに派生して山上容疑者自身も、その限りでは統一教会との関係に限定すれば１００％の被害者です。』（以下、「第２引用」という）という安倍元総理に対するテロ行為の正当化を示唆するような極端な主張を展開しています。」との批判を行っています。

　発言の当事者として、以下のとおり反論します。

　第１引用は、引用部分に続く「それを元に、出来得れば、失われた、傷ついた家族の絆を回復していただきたい、失われた人生のいくらかでも取り戻していただきたい、そういった気持で仕事をさせていただいています。」との発言が示すとおり、私達の仕事に対する心構えを述べたものであり、どなたさまの事件についてもそのような心構えであるという一般論を述べたものです。山上容疑者のお母さんの名前をあげたのは、あくまで例示に過ぎません。今の状況下では、山上容疑者のお母さんを例として述べることが、私達の仕事を理解してもらいやすいと判断したためです。したがって、「（お金を回収する）意図があることを宣言し」という批判は、全く、的はずれです。

　第２引用については引用された部分の前に「私達がやっている仕事のかぎりでは」と発言しています。被害者から依頼を受けて裁判を行うという「私達がやっている仕事の限りでは」という限定を付して「統一協会は１００％の悪である」と発言しているのですから、そもそもどのような人に対するものであれ殺人行為を容認したり、テロ行為の正当化を示唆するものではありません。私達の行動は裁判を通じて統一協会による加害の事実を解明し、裁判制度の中で正義が行われることを目指しているのであり、結果として被害者の心を癒していくことなのですから、むしろテロ行為など暴力行為の防止に役立っていると考えます。

　以上のとおり私の「山上容疑者自身も、統一協会との関係に限定すれば１００％の被害者です」との発言は、上記の発言の流れ、山上容疑者の今回の行為を明確に排除していること、私達の仕事の限りでは統一協会が１００％悪であると言っているのであって安倍元総理に言及したものではありませんから、「安倍元総理に対するテロ行為の正当性を示唆するようなもの」では絶対にありません。

　裁判では過失相殺という考えがあります。被害者側にも過失がある場合、その分が認容された損害額から差し引かれるという事です。私が担当している裁判では、統一協会は、過失相殺を主張したことはありません。勿論、判決で過失相殺が認められたこともありません。ですから、認容された損害額の１００％が支払われます。そのことも踏まえて私は「私達がやっている仕事のかぎりでは」と限定を付して「１００％」という発言をしたのです。したがって、統一協会は、意図的に私の発言を歪曲して、それを極端なものであるとして、根拠のない非難を投げかけているのです。

　山上容疑者のお母さんの場合を考えても、夫に、自死によって先立たれ、重い障害を持つ子供を含め３人の子供を養育しなければならない立場の人を、正体を隠した伝道・教化活動によって（まだ明らかになっていませんが、私は長い経験からこのことが事実であると考えています）、因縁の解消のための献金、万物復帰（献金をすること・経済活動をすること）が救いのために必要であることを真理として信じさせ、その結果１億円もの献金をさせ、自己破産までさせているようですから、私の認識から言えば統一協会の行為に正当性は全くありません。
　

　以上のとおり、統一協会の批判は、私の発言の一部だけを取り出してその意図を曲解したり、あり得ない「誤読」を意図的にして、私の発言をテロ行為の正当化を示唆するなど極端なまでに歪曲したうえでそれを批判するもので、全く正当なものではありません。

以上

　なお、私の発言の全文を添付します。

　私達は、山上容疑者のお母さんが脱会してきた場合に、そのお母さんの依頼を受けて、お母さんを被害者として、加害者である統一協会に対して損害賠償請求訴訟を提起し、統一協会から献金として取られたお金を回収して、それをお母さんにお渡しして、それを元に、出来得れば、失われた、傷ついた家族の絆を回復していただきたい、失われた人生のいくらかでも取り戻していただきたい、そういった気持で仕事をさせていただいています。
　私達がやっている仕事のかぎりでは、統一協会は１００％の悪であり、山上容疑者のお母さんも、それに派生して山上容疑者自身も、統一協会との関係に限定すれば、１００％の被害者です。
　被害者救済に我々の力がまことに小さいが為に、他の社会的諸勢力がそのことに目を向けてくれないが為に、政治家の中にはかえって、現実的な力を有している強大な教団にくみすることによって利益を得ようとしているような人がいるが為に、被害者を助けることができなかった。そのある種結果、暴発した感情の結果なのかなあと考えています。その点では、我々自身は手一杯必死になってやっているつもりではありますが、我々の努力の不足を自覚しないわけにはいかないという点があります。
　

2022年7月17日世界平和統一家庭連合メディア報道に関する声明文はこちら→