声  明
2022年7月12日

安倍晋三 元首相 銃撃事件に対する声明

全国霊感商法対策弁護士連絡会
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
 代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
 事務局長 弁護士 川井康雄
  
山上被疑者が、安倍晋三元首相を死に至らしめた今般の卑劣極まりない行為は、いかなる理由があろうとも決して許されないことです。当会は、安倍元首相のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 
山上被疑者の母親が統一協会に多額の献金をし家庭を崩壊させられたことへの恨みが今回の事件の動機であるという報道が事実だとすれば、同被疑者が母親の常軌を逸する統一協会への献金をはじめとした忠実すぎる活動のためどんなに苦しんできたことか。多くの元信者やその家族、二世信者の苦悩や葛藤、生活の困窮などの悩みに接してきた当会としては、かねてよりこのような実情について心から憂いてきたことであり、その意味で、山上被疑者の苦悩や教会に対する憤りも理解できます。家庭を崩壊させる統一協会の活動について行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打ってきませんでした。今回の行為は決して許されることではありませんが、こうした問題に対し社会としてどう取り組むべきかが改めて問われているとも思います。
 
安倍元首相が、統一協会やそのダミー組織のひとつである天宙平和連合(UPF)などのイベントにメッセージを発信することを繰り返し、特に昨年9月12日の「神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会」(UPFのWEB集会)でビデオメッセージを主催者に送り、その中で文鮮明教祖(2012年死去)の後継の教祖韓鶴子氏に「敬意を表します」と述べたことは、統一協会のために人生や家庭を崩壊あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとってたいへんな衝撃でしたし、当会としても厳重な抗議をしてきたところです。
政治家の皆様が政治的信念にもとづいて意見を述べ行動されることについて当会として異をはさむものではありません。
しかし、その献金勧誘行為や信者獲得手法について繰り返し違法である旨の判決が下されている統一協会やそのダミー組織の活動について支持するような行動は厳に慎んで頂きたいと改めて切実にお願いいたします。
 
統一協会の霊感商法の手口による金銭収奪行為や正体を隠してビデオセンターに誘い込んで信者にしていく行為が、信者となった者やその家族の人生を狂わしあるいは狂わしかねないものであることについて、少しでも理解して下さるよう願います。
    
また、今回の事件や報道、SNS等の投稿によって、傷つき、苦しむ統一協会の現役信者、特に二世信者、三世信者が存在することを念頭に置き、取材、報道、投稿は慎重にされることを望みます。