衆院選を前に主要8政党の党首らに対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係や被害救済について尋ねる公開質問状
  公 開 質 問 状
2024年10月10日

旧統一教会問題についての公開質問状
 
立憲民主党 代表 野田 佳彦 先生
 全国霊感商法対策弁護士連絡会
前略
 当連絡会は世界平和統一家庭連合(以下「旧統一教会」と表記します)による霊感商法・不当献金勧誘による深刻且つ広汎な被害の救済及び新たな被害の抑止のため、1987年(昭和62年)から今日に至るまで取り組んで参りました。
 旧統一教会による資金獲得活動が極めて悪質で広汎且つ組織的・計画的なものであることは、昨年10月13日文部科学大臣が旧統一教会の解散命令を東京地方裁判所に請求されたことにより政府の見解として明白にされました。
 このような宗教法人及びその傘下の関連団体に国会議員が賛同するかのような行動や発言をすることは、その議員が旧統一教会の上記違法活動や文鮮明教祖による独自の主張に賛同し容認している印象を市民に与え、被害拡大の原因となってきました。また、旧統一教会によって多大な損害を被った多くの方の被害救済はまだ実現できておらず、将来の被害抑止策が十分に講じられているとも言えません。
 この度立憲民主党の代表に就任された野田佳彦先生におかれましては、ご自身はもとより、すべての立憲民主党の国会議員諸氏に対し、かかる視点から旧統一教会との絶縁を徹底していただくよう強くお願いします。
 かかる観点から野田佳彦先生に次の5点の質問をさせていただきます。是非とも10月14日迄にFAXで事務局長弁護士木村壮宛に送付して下さるようお願いします。
 先生のご回答は各党の党首などの回答とあわせて10月15日以降に公表する予定です。
 お忙しいときに恐縮ですが、何卒よろしくお願い致します。

<質問事項>
1.先生は旧統一教会の被害者救済及び被害抑止に今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

2.今後先生ご自身及び国会議員は、旧統一教会及びその関連団体との交流や連携について、どのように対処するべきとお考えでしょうか。また、その実現のために何をなすべきとお考えでしょうか。
 
3.2022年12月10日に成立した「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(「不当寄附勧誘防止法」)は、附則で2年後見直しが明示されており、その時期が迫っております。先生はこれにどう対処するべきとお考えでしょうか。
 
4.裁判所は遠からず旧統一教会について解散命令を下すと考えられます。
  解散命令後の清算手続において被害者の救済を図るためには、被害者の支援や統一教会による財産隠匿の防止等についてより実効性のある立法が必要と考えますが、このような立法の必要性についてどうお考えでしょうか。

5.この度牧原秀樹法務大臣が旧統一教会及びその関連団体の会合などに(秘書出席をあわせて)37回に及ぶ出席・参加をしている事実が明らかになりました。各党所属の国会議員の先生方と旧統一教会の関係は断絶されるべきです。関係断絶の実効性を確保するために、これまでの旧統一教会との関係の調査にとどまらず、その政治への影響の検証及び実効的な再発防止策の策定のために、国会内に独立した調査委員会を設ける、あるいは貴党において第三者委員会による調査を実施して、その検討結果を公表するご意思はありますか。

代表選の際にも公開質問状をお送りしており、その内容と重複する部分もありますが、今月27日に総選挙を控え、政治と統一教会の問題は国民の重大な関心事であることから改めて主要政党の党首宛に本書をご送付させていただくものです。
お忙しいところ大変恐縮ですが、簡単でも結構ですので、以上5点について、回答をご記入の上、「全国弁連事務局長 弁護士木村壮」宛にFAX(FAX番号:03-3355-0445)で送付いただきますようお願い申し上げます。
末尾ながら、先生のご健康とご活躍を心から期待しております。
 草々
             全国霊感商法対策弁護士連絡会
             代表世話人 弁護士  平 岩  敬 一(横浜)
             代表世話人 弁護士  郷 路  征 記(札幌)
             代表世話人 弁護士  中 村  周 而(新潟)
代表世話人 弁護士  河 田  英 正(岡山)
代表世話人 弁護士  山 口    広(東京)
(連絡先)事務局長 弁護士 木村 壮(東京)
東京都新宿区新宿1丁目15番9号 さわだビル5階
           東京共同法律事務所内
TEL:03-3341-3133 FAX:03-3355-0445

回 答 書 
立憲民主党
 
1.先生は旧統一教会の被害者救済及び被害抑止に今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

 
2022年の安倍元総理の銃撃事件をきっかけに明らかとなつた旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の悪質な霊感商法による高額献金等の被害は、30年にも及ぶ政治の不作為の結果とも言え、被害者の救済に実効性ある対策を講じ、合理的な判断力を奪う違法な活動を抑止することは、政治の急務の課題であり責任である。
 また、旧統一教会が政治家、または政党に接近し、恣意的な政策決定に至ったのではないかとの疑いはいまだに払拭されず、社会的に問題のある団体との関係は政治不信につながつていることから、第三者による全容解明と今後の関わり方について明らかにすべきである。


2.今後先生ご自身及び国会議員は、旧統一教会及びその関連団体との交流や連携について、どのように対処するべきとお考えでしょうか。また、その実現のために何をなすべきとお考えでしょうか。

 旧統一教会による高額献金被害等を理由としてすでに政府は旧統一教会の解散命令請求を裁判所に求めている。立憲民主党は2022年7月に旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、被害者や弁護団、有識者等からのヒアリングを精力的に行い、救済に関連する法律案の与野党の議論をリードしてきた。
 党内については党所属議員への調査を行い、過去に会合への出席、メツセージ送付など行ったケースがあったものの、金銭の授受や選挙の支援など関係を有する者がいないことを確認した。そのうえで、今後は党所属議員として会合出席・メッセージ送付等を含め、旧統一教会と―切関係を持たぬよう徹底することとしている。


3.2022年12月10日に成立した「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(「不当寄附勧誘防止法」)は、附則で2年後見直しが明示されており、その時期が迫っております。先生はこれにどう対処するべきとお考えでしょうか。

 
与野党で協議し、政府から旧統一教会による被書のうち、財産被害に特化した救済法として、法人不当寄附防止法が提出され成立し、2023年1月一部施行、2024年4月完全施行となった。政府法案提出に先立って、悪質献金防止法案を提出した立憲民主党としては、「政府案は不十分ではあるが、重要な救済の一歩」として―部修正のうえ、賛成した。
 しかし、完全施行から1年以上経過しても、いまだに配慮義務違反の実績がないこと、また、合理的判断を奪ういわゆるマインドコントロールを利用した勧誘行為の定義づけが困難であったことから、実態に即して使いにくいのではないかとの懸念もあり、実効性を担保するために、どのような見直しが必要であるか、完全施行後の実績の検証を含めて確認する必要がある。
 法案審議においても、当時の担当大臣は検討会について考えたいと答弁している。この検討会が未だに設置されていないことは問題である。―日も早く検討会を設置するとともに、施行2年後の見直し、つまり2025年の早い段階で実効性ある法律とするため見直しを行う必要がある。


4.裁判所は遠からず旧統一教会について解散命令を下すと考えられます。
  解散命令後の清算手続において被害者の救済を図るためには、被害者の支援や統一教会による財産隠匿の防止等についてより実効性のある立法が必要と考えますが、このような立法の必要性についてどうお考えでしょうか。

 旧統一教会は、数百億円にも及ぶ海外への送金を毎年のように行ってきたという報道があり、また政府の解散命令晴求では、これまで数十年にわたり、約1550人の被害者と約204億円もの賠償金、解決金が生じたと報告されている。こうしたことから、救済前に財産が失われてしまう恐れは、現実的な強い懸念でもある。
 財産が散逸し被害救済できないことはなんとしても避けねばならない。立憲民主党は2023年臨時国会でいち早く財産保全法案をとりまとめ、日本維新の会とともに提出したが、立維案は否決された。
 自公国案については、成立後の施行状況等の結果、3年を持たずに財産保全の在り方を含め検討するとの答弁を得られたことから、真に求められている財産保全に関する法的措置を講ずることを前提に、賛成した。しかしいまだに「特別」指定宗教法人に指定されていないことや、そもそも監視はできても保全はできないのではないか、との懸念を払しょくできていない。
 ジャパンライフ事件でも、最後は数%の財産回復しかできなかつたことを踏まえ、被害回復に関する立法化は必要であると考える。


5.この度牧原秀樹法務大臣が旧統一教会及びその関連団体の会合などに(秘書出席をあわせて)37回に及ぶ出席・参加をしている事実が明らかになりました。各党所属の国会議員の先生方と旧統一教会の関係は断絶されるべきです。関係断絶の実効性を確保するために、これまでの旧統一教会との関係の調査にとどまらず、その政治への影響の検証及び実効的な再発防止策の策定のために、国会内に独立した調査委員会を設ける、あるいは貴党において第三者委員会による調査を実施して、その検討結果を公表するご意思はありますか。

 旧統一教会等と交わきれた推薦確認書には、旧統一教会が推進する家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定の推進や、LGBTや同性婚法制化に後ろ向きな項目が入っており、それらの政策は自民党の政策に―致していることから、旧統一教会によって政策が歪められてきたとの疑念がぬぐえない。
 自民党は旧統一教会と根深い関係を築いてきているにも関わらず、過去の関係を報告しないまま、今後の関係断絶といって議論を終わらせている。まずはどのような関係があったのか、国民に対して丁寧に報告すべきだ。
 このため、すでに2024年3月に政府に要請している通り、国民ん蔓延する政治不信を払しょくし、旧統一教会との関係を断絶するためにも、旧統一教会と国会議員との関係について調査する第三者機関を設置し、過去の関わりを明らかにするべきである。
 なお、第三者機関には異なるバックグラウンドや専門性を持つ複数の委員が選任されることは前提として、被害者の声を代弁する者、特定の団体との政治への癒着に知見がある者を加えるべきである。