公 開 質 問 状(3)
2024年(令和6年)3月23日

〒447-8601
愛知県碧南市松本町28番地
碧南市長 禰冝田政信 殿

  
全国霊感商法対策弁護士連絡会・・・・   
 代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
〒103-0027・・・・・・・・・・
東京都中央区日本橋3丁目15番2号
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鹿児島ビル8階
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田村町総合法律事務所
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TEL03(6281)6588 FAX03(6281)6585
事務局長 弁護士 川井 康雄(東京)
  
 
 当連絡会の2023年10月13日付け公開質問状、同年11月27日付け公開質問状に対し、貴職からそれぞれ回答書をいただいておりますが、両者ともにわずか1頁のもの過ぎず、しかもほとんど中身のないものでした。
 貴職からは誠実に回答しようとする姿勢が全く窺えず、極めて不当であることをまず冒頭で指摘いたします。

 
 貴職もご承知のとおり、本年4月21日に碧南市長選挙が行われます。そして、貴職は5期目を目指して同選挙への立候補を表明されています。
 市長は、「社会一般の正当な関心の対象となる公的立場」(最判平成6年2月8日)にあり、その者が公職にあることの適否などの判断に資する情報については、有権者に対して積極的な説明・開示がなされるべきです。
 この点、貴職は、かねてより世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下「統一教会」といいます。)との極めて深い関係が指摘されています。特に、合同結婚式に参加し、天寶家庭(てんぽうかてい。多額の献金等を行い教団内の審査にも合格した家庭)にもなっているとされており、これらが事実であるとすれば貴職はいわば教団内でのエリートともいえる立場にあります。
 一方、その統一教会に対しては、2023年10月13日、盛山正仁文部科学大臣が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」(宗教法人法第81条1項)等として解散命令請求を行っており、本年3月7日には、「被害者が相当多数存在することが見込まれる」(特定不法行為等被害者特例法第7条1項)等として指定宗教法人にも指定されています。
 統一教会はかねてより政治への接近を図っており、昨今、統一教会と政治との癒着が大きな社会問題となっています。特に地方自治体においては、政策が歪められ住民に不利益が生じていないかが強く懸念されているところです。
 以上からすれば、貴職が市長という要職に立候補するにあたっては、統一教会との関係性について、選挙前に有権者にきちんと説明すべきは当然です。本年2月29日には碧南市の市民団体から貴職と統一教会との関係を明らかにするように求める1万人超の署名が貴職宛てに提出されており、有権者の関心も高まっています。

 
 これまでの公開質問状で繰り返し指摘したとおり、貴職については、2021年6月20日付け「神統一世界安着のための神日本第3地区希望前進霊界」と題する動画(以下「本件動画」といいます。)の存在が指摘されております。
 その中で貴職は、碧南市役所の建物をバックにしながら、19歳で統一教会の教えに出会い50年以上神霊と真理に導かれながら生活してきた、とした上で、
 「真のお母様、私は天寶家庭にふさわしい家庭になれるよう今後とも永遠に孝情精神のもと神霊と真理に基づき努力することをお誓い申し上げます。」
などと、統一教会の総裁である韓鶴子(ハンハクチャ)に忠誠を誓うような発言もしております。
 2023年10月27日付け回答書において貴職自身が本件動画で発言したことを否定していないことからも、本件動画は貴職自身が発言したものと言わざるを得ず、貴職が統一教会と極めて深い関係にあることはこの動画からも明らかです。

 
 以上を前提に、碧南市長選挙前に、再度、公開で質問をさせていただく次第です。
 後記(1)から(6)の各質問事項について、2024年4月1日(月)までに事務局長川井康雄まで文書にて回答していただきますようお願いいたします。
 なお、これまでの公開質問状やマスコミの取材に対して、貴職は、「個人的な」ものであること、「思想及び良心の自由(憲法19条)や信教の自由(憲法20条)」に関するものであること、「裁判所による審理が行われ」ていること、政教分離原則に抵触することなどを理由に回答を拒否しています。
 しかし、2023年11月27日付け公開質問状(2)でも述べたとおり、これらはいずれも全く回答拒否の理由にはならないことを予め申し添えておきます。


 
   (1) 貴職と統一教会との関係について具体的に教えてください。

   (2) 貴職が、本件動画で前記のとおり発言するに至った理由及び経緯を教えて下さい。

   (3) 統一教会については、正体隠しの違法な伝道や過度な献金要請等による多くの深刻な被害実態が全国で報告されており、前記のとおり解散命令請求が行われ、指定宗教法人にも指定されておりますが、これらについて貴職の市長の立場からの認識を教えてください。

   (4) 貴職は、2023年10月27日付け回答書において、2021年に統一教会の関連団体主催の「未来創造FESTIVAL2021」において実行委員長を務めたこと、及び、「平和大使協議会」東愛知地区で共同議長を務めたことを認めています。これらを務めるに至った理由及び経緯を教えて下さい。

   (5) 統一教会またはその関連団体もしくは関係者から市長である貴職に対して、これまで市政に関する働きかけはあったのか、それによる市政への影響はなかったのかを教えて下さい。また、今後、働きかけがあった場合にどのように対応するのか教えて下さい。

   (6) 貴職は、2023年11月、マスコミから統一教会との関係を問われ「市民も承知の上で私を選んでいる。」と述べましたが、実際には2008年の碧南市長選挙の際、貴職は有権者に対して何らこの点を説明しておりませんでした。
 今回の碧南市長選挙前に、改めて有権者に対して、前記各質問に対する回答を含め、統一教会との関係について真摯に説明するつもりはあるのか、どのように説明するのかを教えて下さい。もし説明するつもりがないとすれば、その理由を教えて下さい。


以上の各質問について、改めて明確かつ具体的にご回答いただくようお願いします。
以上