公 開 質 問 状
２０２３年（令和５年）１０月１３日

〒４４７－８６０１
愛知県碧南市松本町２８番地
碧南市長　禰冝田政信　殿

 
全国霊感商法対策弁護士連絡会・・・・  
 代表世話人　弁護士　平岩敬一（横浜）
代表世話人　弁護士　郷路征記（札幌）
代表世話人　弁護士　中村周而（新潟）
代表世話人　弁護士　河田英正（岡山）
代表世話人　弁護士　山口　広（東京）
〒１０３－００２７・・・・・・・・・・
東京都中央区日本橋３丁目１５番２号・・
鹿児島ビル８階・・・・・・・・・・・・
田村町総合法律事務所・・・・・・・・・
TEL03(6281)6588　FAX03(6281)6585
事務局長　弁護士　川井　康雄（東京）　 
１ はじめに
　私たち、全国霊感商法対策弁護士連絡会（以下「当連絡会」といいます。）は、世界平和統一家庭連合（旧世界基督教統一神霊協会。以下「統一教会」といいます。）による霊感商法被害の救済と根絶のために、１９８７年（昭和６２年）５月、全国の弁護士約３００名により結成された弁護士の連絡会です。

　当連絡会は、２００８年（平成２０年）、貴職が碧南市長選挙に出馬する際に公開質問状をお送りしましたが、貴職からの回答では、統一教会の信者としての経験に関する質問や当選後の政治活動への懸念に関する質問について、信教の自由などを理由に回答頂けませんでした。

　本日、文化庁が統一教会について宗教法人法８１条1項1号、２号前段に該当する事由があるものとして解散命令請求を行いました。統一教会が法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をし、あるいは宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたものと政府が判断したものであり、かかる教団と、公職に就き、あるいは就こうとする方の関係性は、従前以上に、有権者の重大な関心事項となっていることが明らかです。

　２０２４年（令和６年）４月に行われる予定の碧南市長選挙が近づいてきましたので、再度公開にて質問をさせて頂く次第です。
　つきましては、後記の質問事項について、２０２３年（令和５年）１０月２７日（金）までに、事務局長川井康雄まで文書にて回答していただきますようお願い致します。

 
２ 統一教会の違法行為
　統一教会は、「真（まこと）のメシヤ」であるとする文鮮明の指示のもと、そして同人の逝去後はその妻である韓鶴子の指示のもと、「万物復帰」という教義の実践として、日本人信者に対し、手段を選ばない詐欺的強迫的手口の強烈な資金集めを行い、それにより献金をさせ、毎月目標額を示してその達成を厳しく指示し続けてきました。

　このため、全国で広範な被害者が生み出され続け、大きな社会問題になってきたことは、貴職も既にご存知のことと思います。霊感商法については強い社会的批判があり、再三にわたって献金や物品販売活動、ひいてはその信者勧誘活動についてまで、統一教会の法的責任が認められてきました。

　統一教会に関する被害相談は、当連絡会が集計した被害者の相談だけでも、１９８７（昭和６２）年から２０２２（令和４）年１２月までの３６年間に合計約３万５千件、被害合計は約１２８２億円にのぼっており（添付資料１）、現在も当連絡会や全国統一教会被害対策弁護団、法テラスなどにはなお多くの被害相談が継続して寄せられています。 
３ 政治家が統一教会と関わることの問題性
　近年、政治家の方々が統一教会やそのフロント組織の集会や式典に出席し、祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っておりましたが、貴職もご承知のとおり、昨年７月の安倍晋三元首相銃撃事件以後の一連の報道によってこれらの行為が明らかになり、社会的に問題視されています。これらの政治家の方々の行為は、統一教会により、自分達の活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」として利用されます。
　この点については、当連絡会が２０２３年（令和５年）３月１８日付けで「政治家の皆様へ統一教会との関係断絶を求める声明」を出しておりますので、ご確認下さい（添付資料２）。 
４ 貴職と統一教会のかかわり
  （１）「神統一世界安着のための神日本第３地区希望前進霊界」と題する動画 
    貴職は、２０２１年（令和３年）６月２０日付け「神統一世界安着のための神日本第３地区希望前進霊界」と題する動画（以下「本件動画」といいます。）（https://twitter.com/i/status/1598281483663577088）にて、碧南市役所と考えられる建物をバックに以下のような発言をしています。

　「私は禰冝田政信と申します。真のお母様そして皆様の前で、お話ができる機会を与えてくださったことに心より感謝を申し上げます。私は１９歳のとき幸運にも家庭連合の教えに出会い、それ以降５０年間以上今日まで神霊と真理に導かれながら真に意義と価値ある充実した毎日を送らさして頂いております。天の父母様と天地人・真の父母様に最大限の感謝を申し上げます。私は１９８２年６０００双の祝福家庭となることができ、韓国の相対者との間に６人の男子を授かりました。上から順番に３人目までは祝福の恵みを受け、現在のところ３人の孫に恵まれています。天の父母様と天地人・真の父母様のご加護を感じる毎日であります。真のお母様、私は天寶家庭にふさわしい家庭になれるよう今後とも永遠に孝情精神のもと神霊と真理に基づき努力することをお誓い申し上げます。ありがとうございました。」
  （２）実行委員長への就任等 
     また、貴職は、統一教会の関連団体「天宙平和連合（ＵＰＦ）」が中心となって開いた２０２１年（令和３年）のイベント「未来創造ＦＥＳＴＩＶＡＬ２０２１」で、実行委員長を務めたこと、別の関連団体「平和大使協議会」東愛知地区で共同議長を務めていたことも報道されています。
５  貴職に対する質問
　そこで、以下の諸点について回答をお願いします。
（１）  貴職は、碧南市議会２００８年（平成２０年）第３回定例会、２０２２年（令和４年）第７回定例会において、統一教会に入信していることについての質問を受けた際に明言を避けておりますが、現在の統一教会との関係について具体的に教えてください。
  （２） 本件動画は、貴職自身が発言しているもので間違いないでしょうか。間違いない場合、本件動画で発言するに至った理由及び経緯を教えて下さい。
  （３） 貴職は、本件動画で１９８２年（昭和５７年）にソウルで開催された６０００双の合同結婚式に参加している旨の発言をしていますが、これは事実でしょうか。
  （４） これまで統一教会から貴職に対して献金の指示がありましたか。あった場合、その指示にどのように対応してきましたか。また、これからどのように対応していきますか。
  （５） これまで統一教会から貴職に対して伝道の指示がありましたか。あった場合、その指示にどのように対応してきましたか。また、これからどのように対応していきますか。
  （６） 統一教会の正体隠しの違法な伝道や過度な献金要請などによる多くの深刻な被害実態について、またこれに対する統一教会の対応について、貴職の認識や意見を教えてください。
  （７） 貴職が２０２１年（令和３年）の「未来創造ＦＥＳＴＩＶＡＬ２０２１」の実行委員長を務めたのは事実でしょうか。事実であれば、その理由を教えてください。また、貴職が実行委員長になることによって、どのような社会的影響があると考えて就任したのでしょうか。
  （８） 貴職が「平和大使協議会」東愛知地区で共同議長を務めたのは事実でしょうか。事実であれば、その理由を教えてください。また、貴職が共同議長になることによって、どのような社会的影響があると考えて就任したのでしょうか。
  （９） 貴職は、本件動画で、「５０年以上神霊と真理に導かれながらまことに意義と価値のある充実した毎日」を過ごしてきたと発言していますが、これは、碧南市において碧南市長として神霊と真理に導かれた政治を行ってきたという意味を含むのでしょうか。
  （10） 貴職は、本件動画で「今後とも永遠に孝情精神のもと神霊と真理に基づき努力することをお誓い申し上げます」との発言をしています。「孝情精神」とは統一教会の教義で文鮮明夫妻を真の父母とあがめる教えです。

　今後も永遠に「孝情精神」のもと神霊と真理に基づいて、碧南市において政治活動を行うことを誓っている意味にとれますが、そのような意味も含んでいますか。
  （11） 貴職が上記のような発言をしながら、碧南市長としてこれまで政治活動を行ってきたことを碧南市民にどのように説明するのか教えてください。
  （12） 今回の文化庁による統一教会に対する解散命令の請求への賛否とその理由を教えてください。
  （13） 今後、統一教会との関わりを継続するのか、断つのかを教えてください。
以上   
添付資料  
　　１．被害集計（１９８７年～２０２２年）  
　　２．２０２３年３月１８日付け「政治家の皆様へ統一教会との関係断絶を求める声明」