◆公開申入書
世界基督教統一神霊協会  会長 石井光治 殿

1997年10月31日

 世界基督教統一神霊協会(以下「統一教会」)は、その信者をして本年一一月二九日に予定している合同結婚式への参加者を募る活動を展開しています。日本人信者が世界各国に派遣され資格外活動で国外退去を命じられるなどの事態も生じており憂慮にたえません。

 さて、統一教会は本年八月頃から、その信者に指示して、「真(まこと)の家庭運動推進委員会」や「世界平和家庭連合」「世界平和女性連合」「世界平和統一家庭連合」「喜びの家庭再建委員会」等の名称を用いて、戸別訪問や街頭での署名集め活動を全国各地で一斉に開始しました。「不倫しない」「絶対純潔を守る」「家庭秩序を立て離婚しない」等の誓約事項を列挙した文書に住所氏名電話番号更には配偶者の氏名まで記入させたうえ、「ワインを味見して下さい」「幸せになるお酒です」「口をつけるだけでもいいです」などと言って合同結婚式で飲ませる「聖酒」と同旨のものと思われる成分不明な飲料を飲ませ、場合によっては署名した夫婦の写真を撮っています。

 元信者の体験や勧誘された者の申告、統一教会等の内部資料などによれば、これらの署名・飲料・写真撮りの一斉行動は、統一教会の組織的指示に基づき、信者に一人一八〇名などの目標(ノルマ)を課して行わせている合同結婚式の参加者募集活動の一環であり、そこで集めた署名をもって右合同結婚式への参加と見なし、更にこの署名簿が今後様々な口実で統一教会の活動に勧誘する手段として利用されることになるのは明らかです。

 最近一週間だけでも、当連絡会所属弁護士の相談窓口にはこれらの活動に関して一〇〇〇件を超える相談が殺到しています。いずれも統一教会信者による署名等の活動とは全く 気付かず、あまつさえ宗教団体によるものであったことさえ認識しないで署名してしまった市民が、「署名は悪用されないのか。署名した用紙や写真を取り戻すためにはどうしたらよいか。こんな詐欺的署名を止めさせてほしい。あのワインみたいなものは何か。毒は入ってないか。妊娠中だが大丈夫か。自分も合同結婚式に参加したことになってしまうのか。統一教会信者と見なされてしまうのか。今後の就職活動に悪影響はないか。」等々いずれも憤りと不安に満ちた相談や問い合せをしてきているのです。

 従って、当連絡会としてもこのまま放置することができないと考え、次の点について統一教会の責任ある文書回答を要求します。

 本年11月11日迄に文書にて回答されたい。

1 このような署名活動の主体を偽り、その目的をかくした組織的で詐欺的な署名集め活動は直ちにやめるべきではないか。
2 署名させた者もしくはその後ワインの如きものを飲ませ、写真を撮った者を統一教会信者と見なしたり、合同結婚式に参加した者と見なすのか。
3 「ワインを味見して下さい」などとして飲ませているものの成分は何か。アルコールは入っているか。
4 この署名した用紙について取消しないし返還を求める市民がいる場合、その取消、返還の要求について、統一教会は責任をもってその返還ないし取消要求に応じるべきではないか。

 一九九七年一〇月三一日
  全国霊感商法対策弁護士連絡会
   事務局長 弁護士 山 口  広
    連絡場所
     東京都新宿区新宿一丁目一番七号
         コスモ新宿御苑ビル五階
     電話代表(三三四一)三一三三番
     FAX (三三五五)〇四四五番
           東京共同法律事務所
  東京都渋谷区松濤一−一−二
   世界基督教統一神霊協会  会長 石 井 光 治 殿


◆回答書
「申入書」への回答

 宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下「当法人」といいます)は、霊感商法対策弁護士連絡会(以下「貴連絡会」といいます)の一九九七年一〇月三一日付「公開申入書」に対して以下の通り回答致します。
 まず、貴連絡会の申入書の最初に、当法人が「信者をして本年一一月二九日に予定している合同結婚式への参加者を募る活動を展開しています」としておられますが、当法人は、当法人の信者に対しては国際合同祝福結婚式への参加の意思の有無の確認と参加への推薦を行っているに過ぎません。また、「日本人信者が世界各国に派遣され」としておられますが、当法人が海外に信者を派遣することはありません。
 また、申入書の一頁から二頁にかけて、「統一教会は本年八月頃から、信者に指示して、「真(まこと)の家庭運動推進委員会」や「世界平和家庭連合」「世界平和女性連合」「世界平和統一家庭連合」「喜びの家庭再建委員会」等の名称を用いて、戸別訪問や街頭での署名集め活動を全国各地で一斉に開始しました」と記述し、当法人が前記記載の団体の名称を用いて署名活動を行っていると断定されておりますが、右団体は当法人とは全くの別団体であり、当法人は署名活動など信者に指示したこともありませんし、そのような署名活動など行ってはおりません。そして、三頁には「これらの署名・飲料・写真撮りの一斉行動は、統一教会の組織的指示に基づき、信者一人一八〇名などの目標(ノルマ)を課して行わせている合同結婚式の参加者募集活動の一環であり」と主張されておりますが、先にも述べましたとおり、当法人は署名活動等は一切しておりませんし、指示なども行っておりません。
 そして、申入書では相談が寄せられていることを強調されて、「当連絡会としてもこのまま放置することができないと考え」、当法人に申入書を送付した旨述べておられますが、先に述べましたとおり、貴連絡会が申入書で取りあげている署名活動を当法人は行っておりませんので、当法人への的外れの申入書送付は迷惑です。
 以上、申入書の貴連絡会の主張に当法人としての立場を明確にした上で、貴連絡会が求めておられる四項目の質問につき回答致します。

「1」について
 当法人は貴連絡会が取りあげている署名活動などしておりませんので、もしご要求があるのでしたら、その署名活動の実施団体にその旨直接申し入れてはいかがでしょうか。

「2」について
 当法人は署名活動など行っておりませんので、当然、信者とすることなどございません。当法人には当法人への入会の規定があり、その規定に則り手続きをしたものが信者となります。

「3」について
 実施団体にお聞き下さい。

「4」について
 実施団体に申し入れ下さい。当法人にそのような要求をされるのはお門違いではないでしょうか。
 以上、貴連絡会の申入書に回答致します。

平成九年一一月一〇日

東京都渋谷区松涛一丁目一番二号
宗教法人世界基督教統一神霊協会
  総務局長 岡村信男

東京都新宿区新宿一丁目一番七号
 コスモ新宿御苑ビル五階
東京共同法律事務所
全国霊感商法対策弁護士連絡会
  事務局長 山口 広 殿



以 上