◆議決書
統一教会の汚れた手による「日韓カルトトンネル」に警戒を!

2014年9月19日

全国霊感商法対策弁護士連絡会
9月19日東京集会
参加者一同

 私達200名は、本日、統一教会による霊感商法被害の救済と根絶に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会主催の東京集会に参加しました。集会参加の弁護士、宗教者、被害者、信者の家族及び支援者らは、本集会において次のとおり決議しました。この決議を西日本の各自治体の責任者の皆様やメディア関係者は、是非ご理解下さい。

<決議文>
 1.統一教会が西日本の県市町村の議会議員等に働きかけている「日韓トンネル推進○○県民会議」などの集まりは、統一教会の思惑による働きかけでつくられた不適切なものであり、統一教会との関係を断絶すべきです。
 2.日韓トンネル問題が、霊感商法で多くの被害を生じさせ続けている特定の宗教団体の手で操作されたり、利権になることがあってはなりません。このような問題を仮りに審議する場合は、統一教会とは絶縁された公的機関によって検討されるべきです。

<決議の理由>
 統一教会は、西日本一帯の自治体議員や首長更には一部国会議員にまで働きかけて、統一教会の試掘坑なるものを起点とした日韓トンネルの実現に向けた組織づくりや決議を目指しています。また、その動きをメディア関係者に報道するよう求めています。

 その推進母体となっている一般財団法人国際ハイウェイ財団(2009年1月設立、理事長大江益雄は元統一教会広報部長であり宗教法人統一教会の元責任役員)は統一教会幹部信者らによって運営されています。

 この「日韓トンネル」は、1981年に統一教会の創始者故文鮮明(2012年9月死去)によって提唱された、日本と韓国の間約230kmを海底トンネルで結び、アジアハイウェイの実現を目指すというものです。

 1983年に「日韓トンネル研究会」が設立され、その初代会長は故梶栗玄太郎前統一教会会長であり、その後も統一教会幹部信者が運営してきました。

 統一教会は、1986年10月から1991年3月の間に、佐賀県鎮西町(現唐津市)に試掘坑(約450mで中断)を掘り、地質調査を行うなどしてきたと称していますが、その資金源は統一教会信者らが一般市民から霊感商法の手口で集めたものでした。統一教会は今にもこの構想が実現するかのように説明して、信者や信者になりかかった人々から高額の献金を集めつづけてきました。この「摂理」のためという口実で、高額の資金の借り入れの名義人とされ不動産を担保提供をさせられたうえ、返済不能となって不動産を失うなど深刻な被害を受けた人も少なくないのです。

 統一教会でさえ、日韓両国で総工費6兆円、工期20年を要するとしている「日韓トンネル構想」は、実際には15兆円以上要する困難な事業であり、両国間の協調・協力を不可欠とします。カルト的宗教団体の思惑で、一般市民や行政、経済界などから費用名目で資金を引き出すようなことがあったり、利権化するようなことは絶対にあってはなりません。統一教会はこれまで100億円を超える寄付で調査・工事を担ってきたと称していますが、その資金源や使途は全く不透明であり、霊感商法による汚れた手によってなされてきたと言わざるをえません。

 そもそも2004年、韓国の建設交通省は、巨額の費用と海峡にある活断層の存在などのために「将来的な建設を目的とする計画に妥当性はない」との研究結果を発表しています。ところが、2009年12月、韓国の国土開発基本構想の中に、唐突に日韓・中韓2つの海底トンネルを長期的課題として妥当性を研究することが盛りこまれました。その頃から統一教会は釜山市や佐賀、長崎、福岡など関係自治体への働きかけや、両国政府関係者の関与を求める働きかけを活発化させています。統一教会は、2006年10月から再開したとする工事で、調査斜坑を掘り進めると称していますが、これまでの工事は実際のトンネル工事には何の役にも立たないキャンペーン推進のためにすぎない工事です。

 以上の経過に鑑みれば、各地で「日韓トンネル推進○○大会」なる会を開き、県議会議員ら地方における有力者で統一教会に賛同する人物を発起人として日韓トンネルに関する運動を展開することは、霊感商法の汚れた手をもつ統一教会の、社会的認知を広めて社会に浸透することを許し、統一教会のトンネル利権獲得に手を貸すことになりかねません。

 統一教会は霊感商法等により全国に夥しい被害を発生させ、信者らが違法な物品販売等で再三刑事摘発されている反社会的団体であり、2005年以降、悪質かつ組織的な物品販売の手口のために逮捕され有罪判決を受けた信者が40名にもなっています。そして現在も、文鮮明死後2周年式典までに100億円を献金せよなどといった集金指令がくりかえし出されて、信者を手段を選ばない資産獲得にかり立てています。万一このような団体が主導する「日韓トンネル運動」に地方自治体や関連機関が関与することになれば、この運動のプロセスを通じて統一教会の資金獲得活動に手を貸す結果になることが危惧されます。

 このような理由で、私達は、日韓トンネルに関する運動には安易に追従することがないよう警戒を呼びかけます。

 仮りに日韓トンネルの是非などを検討する場合であっても、カルト宗教の統一教会と絶縁された、利権に関わりのない専門家や知見者によって公明正大かつ透明性をもってなされるべきです。

以上