◆損害賠償請求事件 東京高裁判決(平成22年8月4日 加筆部分

この判決文は、東京地裁平成21年12月24日判決の事実認定部分に、東京高裁平成22年8月4日判決で加筆変更された部分を掲載しています。
3 当裁判所の判断
1 まず「本件の経緯について判断する。
 原告は,陳述書(甲B40)及び本人尋問において,被告統一協会の宗教活動に参加したのは,Eらによって手相を見てもらうように勧められて新橋のホテルの一室に誘い込まれた際,被告統一協会の信者である先生と称する人物が原告に対し,「運命というのはあなたの力では決まらないのです。先祖の因縁の力で良くも悪くもなるのです。」,「あなたの先祖は今,霊界で苦しんでいます。先祖が救われるかどうかもあなた次第です。」などと述べ,その年(平成元年)が原告の父の3回忌及び原告の母の7回忌の年であったため運命的なものを感じ,その話を真に受けてしまい,上記人物から,この印鑑を買えば,自分だけでなく,今地獄で苦しんでいる先祖や両親も救われるなどと迫られ,上記印鑑を購入したことがそのきっかけであると供述しており,その後の献金等についても,先祖因縁の恐怖を教え込まれており,霊界にいる両親を救い出すためにしたと強調している。

 そこで検討するに,証拠(甲B66,乙ロ4から6まで,乙ロ8,第1審原告本人,第1審被告個人ら各本人)によれば,次のとおり認められる。

 第1審原告の父は昭和●年●月●日に,母は昭和●年●月●日に死亡しているため,平成●年は第1審原告の父の●回忌,母の●回忌を迎える年であり(乙ロ8),父母それぞれの法要の節目になる年忌法要の年に当たっており,第1審原告も平成●年●月に父の妹が主宰する第1審原告の父母の年忌法要に参席したこと(乙B66)が認められ,第1審原告において,第1審原告において年忌法要の呼称を誤解してはいるが,平成元年が第1審原告の父母の年忌法要の年であることに運命的なものを感じたことや,30歳代で家を出て親元には帰らずに一人暮らしをし,父母の面倒を父方のおばに任せ切りにしていた負い目や独身のまま過ごしてきてしまった後悔のあったことを否定することはできないが,同時に,第1審原告は,本当は両親の子ではないのではないかという思いを消し切れずにおり,第1審被告個人らに対して,自らが両親の実子ではなく,養子であるとか,橋の下で拾われたとか,両親には情が行かないと述べていたこと,第1審原告が第1審被告協会の世田谷区の豪徳寺駅近くのビデオセンターに通うことになったのも,第1審原告は,Eからは,先祖や家系について勉強しなければならないと誘われたのであるが,それには興味がなく,Eが述べた「真の愛」について関心を持ったからであったことが認められるのであるから,上記印鑑の購入が,霊界にいる両親を救い出すためにしたものであり,先祖因縁の恐怖に基づくものであるとする第1審原告の陳述書及び本人尋問の結果中の上記供述記載部分及び上記供述部分は,採用することができない。

もっとも,第1審被告Bは,第1審原告に対し,親は誰よりも大切な存在であり,親は子のためを思い,子は親のためを思うべきことや,第1審原告が先祖の前に喜んで感謝していけば,先祖も喜んで感謝することを説いたり,第1審原告を第1審原告の父母の祥月命日に墓参りに連れ出したりしていたほか,第1審被告Dらの第1審被告協会の信者らが第1審原告に対して先祖因縁の話をしていたのであるが,平成35月には,第1審被告Bにおいて,第1審原告の人生の節目となる年齢において付き合っていた男性が健康を害していることを引き合いに出すなどしながら,先祖因縁と先祖の解怨等を説いたのであり,そのような第1審被告Bらの第1審原告に対する働きかけにより,上記認定のように先祖や両親のことには余り関心がなく,Eが述べた「真の愛」について関心を持っていた第1審原告が,その後,遅くとも平成35月ころには,先祖因縁の恐怖を覚え,霊界にいる両親を救い出さなければならないという認識を形成するに至ったことが認められる(甲B56から59まで,甲B66,乙ロ4,第1審原告本人,第1審被告B本人)。そうすると,平成35月以前から,上記献金等を霊界にいる両親を救い出すためにしたという第1審原告の陳述書及び本人尋問の結果中の上記供述記載部分及び上記供述部分も採用することができない。

したがって,第1審原告の陳述書及び本人尋問の結果中の上記供述記載部分及び上記供述部分のうち,上記各部分を除いて本件の経緯を認定することになる。

前記第21の争いのない事実等,証拠(甲A47,甲Blから8まで,甲Bl0から14まで,甲B16から19まで,甲B201から6まで,甲B211から5まで,甲B22,甲B231及び2,甲B38,甲B39,甲B40[相反する部分を除く。],甲B41,甲B66,乙ロ2,乙ロ31,乙ロ4から6まで[相反する部分を除く。],原告本人[相反する部分を除く。],被告個人ら各本人[相反する部分を除く。])及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。

(1) 当事者

原告は,自他とも認める,自己の意思を強く持っており,イエス,ノーをはっきり言う気質の女性である(前記第21の争いのない事実等,甲B40,原告本人)。

被告統一協会は,韓国国籍の文鮮明を創始者かつ救世主(メシア)とし,日本国内においては昭和39年に設立登記された宗教法人である。被告統一協会は,全国をいくつかの教区に分けてそれぞれの教区に教区本部を置き,各教区内をいくつかの教域に分けて,それぞれの教域に本部を置き,その教域組織の下に教会を置いている(前記第21の争いのない事実等,甲A47,弁論の全趣旨)。

(2) 原告が被告統一協会にかかわった経緯,平成元年の印鑑の購入
 Eは,平成元年1029日,東京都中央区銀座のデパート前を一人で通行中の原告に対し,「あなたの手相を見せてくれませんか。」と声をかけ,Eと一緒にいた被告統一協会の信者である女性が,Eにつき「この方は占いの先生で,あなたの手相を見てくれますよ。有名な先生ですけれど,ご存じないですか。」などと話かけた。さらに,E及び上記女性は,原告に対し,「近くのホテルにもっと有名な先生が来ています。特別にあなたの運勢も見てくれますよ。よかったら参加しませんか。」と述べ,原告を新橋のホテルに誘い,原告を同ホテルに同行させた。同ホテルにおいて,被告統一協会の信者であり,先生と称する人物は,原告に対し,「運命というのはあなたの力では決まらないのです。先祖の因縁の力で良くも悪くもなるのです。」,「あなたの先祖は今,霊界で苦しんでいます。先祖が救われるかどうかもあなた次第です。」などと述べるなどして,印鑑の購入を勧め,その結果,原告は,40万円で株式会社マインドから印鑑(碩宝印)を購入するとの売買契約を締結し,Eに対し,同日,上記印鑑の売買代金の一部として2万円を交付し,その後,同月30日,渋谷区の代々木駅において,Eに対し,上記印鑑の残代金38万円を支払った。しかし,先生と称する人物が,第1審原告が印鑑を購入する際に,第1審原告に対し,上記のような発言をしたとしても,前記認定のとおり,原告は,Eからもっと先祖のことや家系のことを勉強する必要があると言われたが,それには興味がなく,Eが述べた「真の愛」について関心があったというのであるから,第1審原告においては,先生と称する人物による上記の先祖因縁に関する言説により,正常な意思決定が妨げられて,印鑑を買えば,今地獄で苦しんでいる第1審原告の先祖や両親が救われ,その結果,第1審原告の運命も向上し,第1審原告自身も救われるなどと考えたとは認められない。なお,Eを含む被告統一協会の信者らは,自らが被告統一協会の信者であることを秘していた(甲Bl,甲B40,原告本人)。
(3) 原告がビデオセンターへ通うことになった経緯
Eは,上記印鑑の残代金38万円の支払を受けた際,ビデオセンターが被告統一協会の信者らが運営する施設であることを秘したまま,原告に対し,先祖因縁の話に関連して,「人生について勉強し,運勢を良くしていかなくてはならない。人生について勉強できるところがあるので,そこに通いなさい。」と述べるなどして,先祖や家系について勉強しなければならないことを告げるとともに,「真の愛について学びませんか。」などと述べ,世田谷区の豪徳寺駅近くのビデオセンターに誘った。原告は,妻子のある男性と不倫関係にあり,約10年間,上記男性と自宅マンションで同棲に近い生活をしていたが,上記男性が病気になり,妻子の元に帰ってしまい,昭和60年ころから事実上別れた状態になってしまっていたことから,上記男性との関係を整理できずに悩んでいたため,Eの述べた「真の愛」につき関心を持ち,上記ビデオセンターにEと共に訪れ,約半年間,上記ビデオセンターに通った。原告は,上記ビデオセンターで被告Dと知り合った(甲B40[相反する部分を除く。],乙ロ4から6まで,原告本人[相反する部分を除く。],被告個人ら各本人)。
(4) 原告がサミットに通うようになった経緯
平成23月ころ,原告が同年4月から●●に配属されることが決定したため,被告Dは,同年3月ころ,サミットが被告統一協会の施設であることを秘したまま,原告をサミットに通うように誘い,原告は,同年4月以後,サミットに通うようになった。その後,原告は,熱海で行われた12日の被告統一協会主催の原理研修に参加し,原告が学んでいる教義が被告統一協会のものであること,文鮮明が被告統一協会の創始者であり,救世主(メシャ)とされていることを初めて告げられた。被告Dは,サミットにおける原告の直接の担当者となった。また,被告Bは,サミットの「教師」として教義を教えたり,カウンセリングを行う役割を担当しており,被告Cは,サミットの部長であり,献金の実務を担当していたが,原告は,サミットにおいて被告B及び被告Cと知り合った(甲B40[相反する部分を除く。],甲B41,乙ロ4から6まで,原告本人,被告個人ら各本人)。
(5) 平成2年の献金

ア 第1審原告は被告個人らに勧められ,不倫関係にあった男性との関係を精神的に清算するため,被告Bと共に上記男性から預かった日本舞踊用の短刀を寺に納めに行くなどしたが,原告は,被告B及び被告Dを含めたサミットの被告統一協会の信者らに対し,新しい出発をしようと思っても,自宅マンションで一人になると心が前向きにならず,落ち込んでしまうなどと述べ,精神的に上記男性との関係を清算することができずに悩んでいた。

被告Dは,原告が自宅マンションを所有していることを原告から聞き,このことを被告Cに報告していた。第1審被告Cは,第1審被告協会に対する献金額を確保するため,第1審原告に自宅マンションを担保に借入れをさせて,借入金を第1審被告協会に貸し付けさせ,その後の時期をみてこれを第1審被告協会に対する献金に振り替えさせようと考え,第1審原告に告げることなく自宅マンションの登記簿謄本を入手し,Gから自宅マンションを担保に7000万円を借り入れることが可能であることを確認した上,第1審被告Bや第1審被告Dに対し,時期をみて第1審被告協会への献金に切り替えさせることを前提に,第1審被告協会の教義を説くなどしながら,第1審原告をして,自宅マンションを担保に7000万円を借り入れさせて第1審被告協会に対して貸付期間を3年とする約定で全額を貸し付けさせるように勧誘するように指示した

1審原告は,平成26月ころの午後10時過ぎころまでサミットにおいて,被告統一協会の城南地区のエリア長を務めていたFから被告統一協会の進める統一運動に関する講義を受けた。被告Bは,上記講義後,原告に対し,「Aさん,話があります。Aさんは今マンションを持ってますね。そのマンションを担保に入れてお金を貸してくれませんか。」と述べ,第1審原告において,貸付けをしなければならない理由として,自宅マンションには,長い間,男性との間の愛の問題がこもっている,神の真の愛を中心とした家庭を築くためには,原告が不倫関係にあった男性と同棲に近い生活をしていた自宅マンションを,聖別(聖なるものとして,他の被造物と別のものにすること)する必要があり,聖別したり清めたりするためには自宅マンションを担保に金員を借り入れ,全額を被告統一協会に貸し付ける必要がある,貸付額は,聖書にあるように,人間は6日目に堕落したので,6という数はサタンの侵入を受けた象徴的な数字であり,これを超える7という数は堕落圏を超えるという意味があって,天地完成数に当たるから,7000万円とすべきである,上記貸付けの借入期間は,3という数は天の祝福と守りがあるようにという意味があり,天の数字であるから,3年とすべきであるなどと述べ,被告統一協会への貸付けを迫り,その場には,被告Dも同席していた。

その結果,かねてから不倫関係にあった男性のことを精神的に清算し切れずにいた第1審原告は,自宅マンションを聖別しなければ,不倫関係にあった男性との関係を精神的に清算することができず,神の真の愛を中心とした新たな家庭を築くことができないとの不安にかられ,第1審被告Cの申入れを受け入れ,被告Cから,貸金業者としてGを紹介され,同月27日,被告Cと共にGの事務所を訪れ,Gとの間で,原告がGから利息年95%,損害金年18%の約定で7000万円を借り入れるとの金銭消費貸借契約,自宅マンションにつきGを抵当権者,原告を債務者,原因を上記金銭消費貸借契約,抵当権設定契約及びGを権利者,借賃を月額1u当たり10円,支払期を毎月末日,存続期間を満3年,条件を上記金銭消費貸借契約の債務不履行とする条件付き賃借権設定契約をいずれも締結し,I司法書士(以下「I司法書士」という。)に依頼して上記抵当権設定登記手続及び上記条件付き賃借権設定仮登記手続をした。また,原告は,上記借入金債務の担保として,●●保険株式会社との間で保険契約を締結した上,Gとの間で上記保険金請求権につき,Gを質権者とする質権設定契約を締結し,原告及びGの連署の質権設定承認請求書に確定日付を得て●●保険株式会社に提出した。

原告は,同日,Gに対して同日から平成3614日までの前払利息6431369円,上記金銭消費貸借契約に係る事務手数料721000円(消費税相当額込み)及び調査料51500円(消費税相当額込み)並びに契約書貼付の印紙代60200円の合計7264069円を,I司法書士に対して上記登記手続及び仮登記手続に要した費用386300円をそれぞれ支払い,また,上記確定日付の費用600円も支払った。

原告は,同日,原告名義の●●銀行の銀行口座(甲B7)から,同口座の残高62349131円(上記7000万円が入金される以前の同口座の残高である100円及び上記7000万円の合計70000100円から上記利息等の合計7650969円[7264069円+386300円+600円=7650969円]を控除した残額)全額を出金し,その場で被告Cに対し,被告統一協会に対する貸付金としてこれを交付し,同日付けの預り証(甲B61)を受け取った。

その際,被告Cは,原告に対し,「手数料や金利はこちらが持ちますので,7000万円をお借りしたことにします。」と述べ,被告統一協会が,原告がG等に支払った上記利息等の合計7650969円についても負担することを約束し,同月30日,原告に対し,貸主として世田谷教会の信徒会の当時の代表であり,世田谷教会の壮年部長であるJ,連帯保証人として被告統一協会の信者のKと記載され,借入額7000万円,弁済期日を平成5626日とする平成2627日付けの金銭消費貸借契約書(甲B8)を交付した(甲B2から8まで,甲B12,甲B40[相反する部分を除く。],甲B41から44まで,甲B471及び2,乙ロ4から6まで[相反する部分を除く。],原告本人[相反する部分を除く。],被告個人ら各本人[相反する部分を除く。])。

@ 被告B及び被告Cの各本人尋問の結果中には,被告Cは,被告Bが原告に対して自宅マンションを担保に7000万円を借り入れ,全額を被告統一協会に貸し付けるように求めるのに先立ち,Gに対し,自宅マンションを担保に7000万円を借り入れることができることを確認していないとの上記認定に反する供述部分がある。しかし,上記供述部分は,自宅マンションを担保に金員を借り入れること,借入額を7000万円とすることを提案したのが原告ではなく,被告Bであることは,被告Bが本人尋問において自認している[被告B本人尋問調書28頁]ところ,それ以前に原告が自宅マンションの登記簿謄本を被告統一協会の信者らに交付する必要性はないのであるし,被告B及び被告Cの上記供述部分によれば,被告Bが自宅マンションを担保にいくらのお金を借り入れることができるかを確認することなく,いきなり,原告に対し,7000万円という高額な金員の貸付けを求めたことになり,極めて不自然であることに照らして直ちに採用することができない。
A 被告B及び被告Cの各陳述書[乙ロ4,乙ロ5]及び各本人尋問の結果中には,原告から金員を借り入れたのは,被告統一協会ではなく,世田谷教会の信徒会であるとの上記認定に反する供述記載部分及び供述部分がある。しかし,上記供述記載部分及び上記供述部分は,原告が被告統一協会の教義に基づき自宅マンションを担保提供した目的が過去の相手との思い出の場所を聖別するためであるから,原告による金員の貸付先は,被告統一協会であるのが当然であり,上記信徒会であるはずがないこと,その後,上記62349131円及び被告統一協会が負担する旨約束した上記7650969円の合計70000100円全額が被告統一協会への献金へと振り替えられていることからすれば,上記貸付金は,原告から被告統一協会に交付されたものと推認することができることに照らして採用することができない。
B 原告の陳述書[甲B40]及び本人尋問の結果中には,上記被告Bから,自宅マンションを担保とする借入れを求められた際,財産というのはとても因縁が強く,その中でも土地というのはたくさんの人の恨みがつもっており,強い因縁を持っているなどと言われたことから,第1審被告協会に対する貸付けを決意した旨の供述記載部分及び供述部分があるところ,上記供述記載部分及び上記供述部分に係る第1審被告Bの発言があった可能性は否めないが,前記認定のとおり,第1審原告が上記の貸付行為に及んだのは自宅マンションを「聖別」するためであったと考えるのが自然であることに照らして,第1審被告Bによる財産に係る因縁に関する発言が第1審原告が第1審被告協会に対する貸付けを決意した動機になったという第1審原告の供述は直ちに採用することができない。
C 原告の陳述書[甲B40]及び本人尋問の結果中には,原告が被告Cに対して交付することができた金員が7000万円に満たなかったため,平成2725日,原告保有の株式会社●●の株式2000株を774万円で売却し,同月30日,手数料等が控除された7570700円を貸付金名下に被告統一協会の信者に交付したのであり,上記7570700円は7000万円の被告統一協会への貸付金の一部であるとの供述記載部分及び供述部分がある。確かに,第1審原告の抱いた自宅マンションを聖別しようとする意図に加え,第1審原告の株式売却の事実が存在し,しかも,当時の第1審原告にこのような資金需要がなかったこと(第1審原告本人)を併せ考えると,第1審原告は,第1審被告Bの求める7000万円の貸付けを実践したものとして既に同年627日付け金銭消費貸借契約書(甲B8)の交付を受けていたものではあるが,自宅マンションを聖別する必要を考えていたことから,実際には第1審被告Cに対して交付することができた金員が62349131円と7000万円に満たなかったため,差額を補充することを思い立ち,平成2725日,第1審原告保有の株式会社●●の株式2000株を774万円で売却し,同月30日,手数料等が控除された7570700円を受領したことが認められる(甲B940,第1審原告本人)。しかし,この7570700円は7000万円の第1審被告協会への貸付金の一部とするつもりで被告協会の信者に交付したことについては,第1審原告自身が,本人尋問において,第1審被告協会の信者に7000万円の不足分の追加である旨の説明をしていないかもしれないこと,第1審被告らによる経理的な処理として,上記株式の売買代金が上記7000万円の貸付金自体に充てられたか分からないことを供述するだけでなく,後になって不足分を信徒会が負担すると知ってがっかりした旨の供述もしていること(第1審原告本人尋問調書16頁,17頁,88頁,89頁)に加え,交付相手,交付状況が証拠上明らかでないことを併せ考えると,株式の売却金を実際に貸付金に追加して第1審被告協会に交付したことを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(6) 平成34月の献金
平成211月,自宅マンションの上階の居室のガス工事が原因で自宅マンションの天井から漏水が生ずるようになった。原告は,サミットにおいて被告Dに対し,上記漏水について相談をし,被告Dは,被告Bに上記相談を受けたことを伝えた。被告D及び被告Bは,後日,自宅マンションを訪れた。その際,原告は,被告D及び被告Bに対し,「雨漏りがするからこの家を売りたい。」,「これって,引っ越しをしなさいってことですかねえ。」などと述べたところ,これに対し,かねてより貸金を献金に振り替える機会を窺っていた第1審被告Bにおいて「教会の近くに引っ越してこられてもいいですね。」などと述べるなどし,第1審被告B及び第1審被告Dにおいてこもごも第1審原告の転居のために自宅マンションを売却するという意志を翻意させずに固めさせるような話をした。そして,原告は,当初自宅マンションの売買代金を新しいマンションの購入資金にするつもりであり,被告統一協会に献金するつもりはなかったが,被告Bは,第1審原告の結婚願望を把握していたことから,原告に対し,自宅マンションを売却した代金につき,「お金が入ったら,それはすべて協会に献金しなければならないのです。Aさんの家系は女性の恨みをかった家系であり,色情因縁が強く,そのせいで今まで結婚のチャンスがなかったのです。」,「このままでは先祖は地獄で苦しみ続けることになる。親孝行できませんよ。地獄というのは息のできない永遠の世界で,そんなところに先祖を放っておいてはいけません。」などと述べ,自宅マンションの売買代金を献金するように迫った。その結果,原告は,自宅マンションを売却し,自宅マンションの売買代金を被告統一協会に献金しなければ,先祖に由来する色情因縁を解消することができず,新たに神の真の愛を中心とした家庭を築くという新しい出発をすることができないなどと不安に陥った。そこで,原告は,自宅マンションを売却することを決意し,被告Cから,仲介業者として被告統一協会の関連会社である株式会社アールデュモンド(以下「アールデュモンド」という。)を紹介され,平成341日,被告Cの同席の下,アールデュモンドの仲介により,L(以下「L」という。)との間で,自宅マンションを原告が同人に対して9300万円で売り渡すとの売買契約を締結し,上記貸付金62349131円及び上記被告統一協会が負担する旨約束した利息等7650969円の合計70000100円を被告統一協会への献金に振り替えるとともに自宅マンションの売買代金9300万円からGに対する残債務70088220円(元金7000万円に,解約手数料140万円から平成344日から同年614日までの戻し利息1311780円を控除した残額である88220円を加えた額),アールデュモンドに対する仲介手数料279万円及び自宅マンションの上記売買契約書(甲B10)貼付の印紙代6万円及び原告が被告Cに対して上帯売買代金から支払うように求めた自宅マンションの売買に伴う譲渡所得税3976000円を控除した残額である16085780円を被告統一協会に献金名下に交付した(甲B10から13まで,甲B40[相反する部分を除く。],原告本人[相反する部分を除く。],乙ロ4から6まで,被告個人ら各本人[相反する部分を除く。],弁論の全趣旨)。
@  被告Bの陳述書[乙ロ4]及び本人尋問の結果,被告Dの陳述書[乙ロ6]及び本人尋問の結果中には,自宅マンションを売却し,自宅マンションの売買代金を被告統一協会に献金をすることを提案したのは,被告Bではなく,原告であるとの上記認定に反する供述記載部分及び供述部分がある。しかし,上記供述記載部分及び上記供述部分は,被告統一協会の教義を受けて間もない原告において,被告統一協会の信者らから何らの害悪も告知されることなく,自発的に16085780円もの高額の金員の献金及び著しく高額な70000100円の借入金等の被告統一協会への献金への振り替えを決意することが極めて不自然であることに照らして採用することができない。
A 被告Cの陳述書[乙ロ5]及び本人尋問の結果中には,被告Cは,原告から,自宅マンションの売買代金9300万円からGに対する残債務70088220円,アールデュモンドに対する仲介手数料279万円の他,原告に前払された手付金930万円を控除した10821780円を受領し,うち500万円を献金名下に交付を受け,残りの5821780円は献金ではなく,自宅マンションを売却する際に要した税金及び原告が新たに賃借したマンションの諸費用等に用いるために預かり,上記各用途に使用したとの上記認定に反する供述記載部分及び供述部分があり,自宅マンンションの上記売買契約書[甲10]には,Lが原告に対して売買契約の締結時に手付金として930万円を支払う旨の記載がある。しかし,上記供述記載部分及び上記供述部分は,甲B60[税理士作成の原告の平成3年分の所得税の確定申告書]によれば,平成341日に9300万円全額が原告に交付されており,手付金が前払されていないこと及び自宅マンションの売買に伴う譲渡所得税は3976000円にすぎないことが認められ,被告C本人尋問の結果[被告C本人尋問調書41頁],原告本人尋問の結果[原告本人尋問調書2223頁]によれば,原告は平成21230日時点で既に自宅マンションから転居しており,転居の際に必要となった諸費用は原告自身の負担で支払済みであったことが認められることに照らして採用することができない。なお,原告の署名のある平成3413日付け献金表明書[乙ロ1]には,献金額として7500万円と記載されているが,原告の陳述書[甲B40]及び本人尋問の結果によれば,被告Cの指示で原告が上記表明書に署名したものにすぎず,上記表明書のその他の記載はあらかじめ記入されていたことが認められることに照らせば,原告が上記表明書の記載を十分に確認しないまま,署名した可能性を否定することができず,この点は,上記結論を左右しない。
(7) 平成35月の献金
1審原告は,平成34月に世田谷区内の賃貸マンションに引っ越し,サミットと並行して第1審被告協会の世田谷教会にも通うようになった。第1審原告は,同年512日,日曜礼拝でFから統一運動に関する全体講話を受けた後,第1審被告Bから「Aさん,今教会でお金が足りないのです。だから2000万円をすぐ用意してください。」と言われた。第1審被告Bは,さらに,「今,Aさんは54歳で7年周期でやってくる転換期にある。」と言った上で,第1審原告が上京した30歳を基点に7年周期を見ると,第1審原告が付き合っていた前記不倫関係にあった男性が,第1審原告の37歳時に糖尿病検査を受診し,45歳時に脳血栓で倒れたことをメモ用紙に書き出しつつ,「決断しなければならない。神様との間の責任分担を果たさなければならない。」,「万物を捧げて天に近付かないと,先祖は解放されない,解怨も果たされない。」,「霊界にいる先祖を救うためには,Aさんもお金を捧げないといけない。」などと献金を求めた。第1審原告は,献金することにより先祖の解怨をしなければならないと畏怖したことから,これに応じることとした。第1審原告は,同月13日,勤務先から休暇を取ることができなかったため,被告Dと共に当時の株式会社●●銀行●●支店を訪れ,同銀行の貸金庫から原告が保有し,上記貸金庫で保管していた●●株式会社の株券2000株,●●株式会社の株券2000株,株式会社●●の株券5000株,●●株式会社の株9000株,●●株式会社の株券4000株,●●株式会社の株券5000株及び原告の実印を取り出し,上記株式及び実印を第1審被告Dに預け,勤務先である●●に戻った。第1審被告Dは,第1審原告に預けられた実印を利用し,●●株式会社において,上記各株式を合計53636135円で売却する手続を行い,同月16日,第1審被告協会の信者が,●●株式会社から上記各株式の売買代金合計53636135円を受領し,同月25日,第1審原告が5300万円を献金したことに係る第1審被告協会主催の献金式が開催された。なお,第1審原告は,2000万円の用立てを要請されたのに, 5300万円を献金させられたことについて不満はあったが,差額の返還を求めることにより,第1番被告協会に対する信仰から自己に何らかの災厄が及ぶのではないかと恐れたため,5300万円の献金とされることを黙認した。(甲B14,甲B40,甲B59,甲B66,乙ロ2,乙ロ31,乙ロ6,乙ロ16,第1審原告本人,第1審被告D)
@  第1審原告が第1審被告協会の信者から献金を求められた際の相手方及び相手方の発言内容は,第1審原告の陳述書(甲B40,甲B66)間において相違しており,しかも,第1審原告は本人尋問において,第1審被告Bから第1審被告協会への2000万円の貸付けを求められたが,第1審被告Bの具体的な発言は記憶にない旨供述しているものであるが,改めて資料の整理をする過程で発見した第1審被告B作成のメモ(甲B59。第1審被告Bも自己が作成したことは認めている[乙ロ14]。以下「本件メモ」という。なお,第1審被告Bは作成時期を平成26月と争うので,作成時期については後記Aにおいて検討する。)により,献金を要請したのが第1審被告Bであり,その献金要請時の発言内容の記憶が喚起されたとすることを疑うべき事情もないこと,また,当初から,2000万円の献金要請があったことを中核とする5300万円の献金の経緯に関する主張を一貫して行ってきたこと,後記Bで述べるように,上記各株式を売却する際の第1審被告Dの供述記載及び供述の内容には採用できない点があることを併せ考えると,前記認定の献金に至る経緯を認めることができる。第1審被告協会の信者において第1審原告に対する2000万円の献金要請をした事実はなく,かえって,講師のFの話に感動した第1審原告が自発的に献金の申出をし,5300万円の献金をしたとする第1審被告らの供述記載及び供述部分は,上記第1審原告の供述等の変遷や献金式の様子を撮影した乙ロ31の写真を考慮しても,採用することができない。
A

本件メモは,その記載の体裁から見て,第1審被告Bが第1審原告に何かを説明するために用いられたものといえ,その上部の第1審原告の年齢と7年周期を重ね合わせた図面部分では,第1審原告の40歳を起点に,54歳を極めて重視した記載がある。具体的には,「50才」,「52才」,「53才」「54才」,「55才」の記載があるが,丸印の付けられた「52才」は平成元年の第1審原告が第1審被告協会と関係を持ち始めた年に対応し,少し大きめの字で書かれた「53才」は前記認定の自宅マンションに係る献金をした年,その上で何度も強調の記載をした「54才」の記載があり,再び丸印の付けられた「55才」の記載がある。「52才」から「53才」の記載には,サタンを意味する「」からの矢印の記載が付されている。その下には,「先祖解放」,「解怨」の記載があり,さらにその下には,丸で囲んだ「5354才」との記載がされている。

このような記載の体裁にかんがみると,第1審被告Bが主張するように,平成26月,第1審原告が53才の時点で,自宅マンションの聖別の名目で担保借入れを勧めるために作成されたとするには,53才の強調の度合いとの平仄が合わず,むしろ第1審原告が主張するように,54才の時点で改めて第1審被告協会に対する貢献を求めた記載と考えられる。よって,作成時期を平成35月と認定した次第である。

なお,第1審被告Bは,毎週日曜日は家族揃って川崎教会の礼拝に参加しており,日曜日に世田谷で礼拝することはなく,世田谷のサミットでは最も広い部屋でも6畳の広さであり全体講話はできない旨記載した陳述書(乙ロ14)を提出し,第1審被告Dもこれに沿う陳述書(乙ロ16)を提出する。しかし,当日にFが統一運動に関する全体講話を行ったことは第1審被告Dも認めるところであり(乙ロ6,乙ロ16),第1審被告Bの平成35月当時の住所である●●から公共交通機関を利用して世田谷区三軒茶屋ないし豪徳寺に出てくることは極めて容易であり,第1審被告Bの上記主張は採用できない。

B  ●●株式会社において上記各株式の売却をした者について,第1審被告Dは,第1審原告が売却手続を自ら行った後,第1審被告Dに対し実印を交付し,売却結果を確認するように求め,職場に戻ったとする第1審被告Dの陳述書及び本人尋問の結果があるが,実印を預けるということは,第1審原告自らが証券会社の窓口担当者に対する手続を行っておきながら,その後に追加の手続が必要になった場合には第1審被告Dに窓口担当者に対する対応をさせることを意味し,職員であった第1審原告が委任状もないのにこのような対応を第1審被告Dに取らせることは不自然といわざるを得ない。また,第1審被告Dは,第1審原告と異なって,株式の売却に関する知識がない〔乙ロ6,第1審被告D本人〕として,第1審被告Dが上記各株式の売却手続を行ったことはあり得ない旨を主張するが,株式の現物を証券会社に持ち込んでとにかく売却するというだけであれば,特段の株式の売却に関する知識は必要がないのであり,第1審被告Dが株式の売却手続を行ったとの認定を左右するものではない。)
(8) 平成311月の献金
被告統一協会の世田谷教会長は,平成311月ころ,世田谷教会において,原告を含む被告統一協会の信者に対し,被告統一協会の称する「16万摂理」の達成のため,「韓国の済州島に統一協会員が16万名行かなければ日本は滅びることになる。済州島に行けばお父様に会うことができる。そのために献金をしなければならない。これは義務である。済州島に行ける人も行けない人もみな献金をしなければならない。」などと述べて献金を求め,その結果,原告は,110万円を献金名下に被告統一協会に交付した(甲B18,甲B40,原告本人)。
(9) 平成78月の献金

被告統一協会の世田谷教会長は,平成78月,合同結婚式で結婚相手を得ることを望んでいた原告に対し,「Aさん,早く祝福を受けないとだめですね。今回また韓国で合同結婚式がありますから,これが最後のチャンスです。」,「祝福を受けないと原罪を払うことができません。このままだとあなたが死後,地獄に落ちますよ。」などと述べ,韓国で開催される合同結婚式への参加を求め,祝福献金名下に献金を求めた。その結果,原告は,合同結婚式に参加することを希望していたこともあって,これまで多額の献金をしているのに,又献金をしないと合同結婚式に参加できないのかと思って不満ではあったが,170万円を祝福献金名下に被告統一協会に交付した。原告は,同月25日に韓国で開催された合同結婚式(36万双)に参加したが,結婚相手となる適当な男性がいなかったため祝福を受けることができなかった。第1審原告は,その後も,祝福結婚式に参加することを希望しつつも,祝福を受けられなかったので祝福献金の返還を求めることもあった。もっとも,第1審原告は,平成16726日,平成910年ころに結婚紹介所で知り合った,当時同棲をしていた内縁の夫であるMと共に合同結婚式(4億双第5次祝福式)に参加し,事後的に既成祝福を受けた(甲B40,乙ロ445,ロ5[相反する部分を除く。],原告本人,被告C本人[相反する部分を除く。])。

(被告Cの陳述書[乙ロ5]及び本人尋問の結果中には,被告統一協会には,祝福を受けないと死後地獄に落ちるとの教義はなく,被告統一協会の教会長は,「祝福を受けないと原罪を払うことができません。このままだとあなたが死後,地獄に落ちますよ。」などとは述べていないとの上記認定に反する供述記載部分及び供述部分がある。しかし,上記供述記載部分及び上記供述部分は,被告Cが本人尋問において,被告統一協会には,祝福を受けないと原罪を払うことができないとの教義があることを認めており[被告C本人尋問証書48頁],証拠[甲A391及び2]によれば,被告統一協会には,祝福を受ければ,原罪を払うことができ,天国に行けるとの教義,祝福を受けないと原罪を払うことができず,地獄に落ちるとの教義があることが明らかであるから,被告統一協会の世田谷教会長が,祝福を受ければ,原罪を払うことができ,天国に行くことができるとの話や祝福を受けないと原罪を払うことができないとの話をしたにもかかわらず,祝福を受けないと原罪を払うことができず,地獄に落ちるとの話がでなかったとは考え難いことに照らして採用することができない。)

(10) 清平祈祷院建設基金
原告は,被告統一協会の世田谷教会長らから勧められ,平成9310日,韓国の清平で開催された清平祈祷院聖殿起工式に参加し,その際,清平修練所での修練会にも参加したが,そこで原告が具体的にどのような体験をし,どのような心理状態に陥ったのか明らかではない。上記起工式では,文鮮明が原告ら参加者に対し「350万円の献金が必要だ。」と述べ,献金をするように求めた。さらに,その後,引率の被告統一協会の信者らが,原告に対し,「お父様の入られる宮殿ができるのだから,あなたも祈祷院建設基金に協力しなければなりません。今お父様も言っていたように,献金額は350万円です。」などと述べて重ねて献金を求めた。その結果,原告は,同日,被告統一協会に対し,所持していた70万円を清平祈祷院建設基金名下に被告統一協会に交付した(甲B16,甲B38,甲B40,原告本人)。
(11) 平成9年の献金
原告は,世田谷教会において,被告Cから,「ニューヨークでお父様が呼んでいる。日本で120名だけがこれに参加することができる。世田谷からは7名が選ばれた。」,原告もこれに参加するようになどと言われたことから,大いに喜んで平成91030日から同年114日まで,ニューヨークを訪問し,同年1031日ころにニューヨークの文鮮明の自宅を訪問した。文鮮明は,自宅において,原告ら参加者に対し,「預金を下ろしてでも,お金を借りてでも何でもいいから,お金を出しなさい。お金をそのまま持っていてはいけません。お金は天に返さないといけないのです。」などと述べ献金を求めた。その結果,文鮮明に会い,その言葉を受けて感激していた第1審原告は,帰国後の同年1125日,12という数字は天をかける数字だといつも頭にあったことから,自ら1200万円という金額を決めて,原告所有の●●株式会社の株式5003株を売却し,その売買代金11402714円に手持ちの資金を加えた1200万円を献金名下に被告統一協会に交付した(甲B17,甲B39,甲B40,乙ロ5,第1審原告本人,第1審被告C本人)。
(12) 各種献金

原告は,サミットにおいて,このままでは日本が滅びるとの内容のビデオや文鮮明が献金を要求する内容のビデオ見せられるなどし,いずれも被告統一協会に,平成6517日に3万円,同年129日に90万円,平成7410日に10万円,同年630日に40万円,平成8531日に10万円,同年610日に400万円,同年1031日に80万円をそれぞれ救国基金名下に交付し,平成6615日に1万円,同年916日に5万円,同年1125日に15万円をそれぞれ救国献金名下に交付した。また,原告は,平成81213日に1万円,平成9630日に40万円,同年930日に2万円,平成10126日に160万円,同年322日に15万円,同月26日に10万円,同年69日に10万円,平成11326日に10万円,平成124月ころに30万円をそれぞれ被告統一協会に交付したが,その出えんの具体的な経緯は明らかではない(甲B18,甲B40,原告本人)。

(原告の陳述書[甲B40]及び本人尋問の結果中には,救国基金及び救国献金以外の献金について,被告ら個人を含む世田谷教会の被告統一協会の信者らから「Aさん,あなたは,A家の氏族メシヤなのです。あなたが頑張って天に献金しないと,あなたの両親や先祖は息もできない地獄で苦しみ続けるのです。」などと言って,献金を迫ったとの供述記載部分及び供述部分があるが,平成78月に合同結婚式に参加するための祝福献金を行っていることや平成9年に文鮮明に会って言葉を受けた感激から1200万円もの献金額を自発的に決めて献金を行っていること,上記救国基金及び救国献金以外の献金は平成812月から平成124月までの間にされたものであることなどを併せ考えると,直ちには採用することができない。

(13) 各種物品の購入
原告は,被告統一協会の信者らに求められ,物品を購入して代金を支払うことが第1審被告協会への貢献に繋がると思ったため,日本ジェム株式会社から,平成3416日にペンダント「真の家庭」を1661400円(ローン手数料を含む。),同年1122日に絵画「情熱の思い」を1823200円(ローン手数料を含む。),平成4620日に宝飾品「心情の華」を2867200円(ローン手数料を含む。),同年1221日に着物「重衿」を20600円,平成5619日に呉服等を577006円でそれぞれ購入したが,その具体的な経緯は明らかではない(甲B19,甲B201から6まで,甲B211から5まで,甲B22,甲B231及び2,甲B40,原告本人)。